噂の子爵です。|北回帰線(6)について


噂の子爵です。

デイヴィッドは落ちぶれたコートニー子爵家の次男で、称号も財産もまったく手にする見込みがなかった。
言わば真心だけが彼の取り柄だったが、その純粋な思いに突き動かされて臨んだ求婚は相手の父親によってすげなく拒絶された。
七年後、遠縁の親戚の葬儀に出かけた彼は思いがけない再会を果たす。
かつて恋に落ち、結ばれずに終わったヴィクトリアがそこにいたのだ。
苦い過去がよみがえり、デイヴィッドは彼女を見つめた。
もう一度、彼女に言い寄ってみようか――いまや僕は莫大な富が転がり込んだ、噂の子爵なのだから。
ルーシーは墓前で泣き崩れた。
戦争に出征した恋人が命を落とし、ついさきほど葬儀が終わったばかりなのだ。
途方に暮れる彼女の傍らにすっと紳士が立ち、話しかけてきた。
「どうやら僕たち二人とも厄介な状況に陥ったようだね」亡き恋人の兄、シルヴァーソーン卿だった。
彼もまた、家督を継ぐ男子が自分一人になってしまい、どうしても結婚しなければならない立場に置かれたのだ。
「僕たちの問題をいっぺんに解決する方法があるんだが……」彼は大まじめにルーシーの顔を覗き込んだ。
ギャノンとひそかに交際していた。
しかし、二人の関係が世間に知られそうになったとき、スキャンダルを嫌うギャノンに別れを告げられる。
それから一年以上が過ぎたとき、彼は突然エリカの前に姿を現した。
ある事情から、有能な雑誌編集者が必要になり、エリカに協力してほしいのだという。
「君を取り戻すためなら、なんでもしよう」そう告げるギャノンに、エリカは思いがけない言葉を口にしていた。
「あなたの子供が欲しいの」深夜番組の人気DJローレンは、華やかな表の顔の裏で、ほとんど男性とつき合ったことがなかった。
いつかきっと、私だけの王子様が現れるはず……。
そう信じていたある日、彼女は一人の男性を紹介されて息をのんだ。
ジャック・モントローズ――レコード会社社長で、女性の憧れの的だ。
女性を次々に変えると噂のジャックのアプローチに戸惑いつつも、ローレンはある日彼と夜をともにする。
だが翌朝、これからも会いたいと言われて恍惚となったローレンは、彼の次の言葉で打ちのめされた。
「ただし、半年だけ」心に大きな傷を抱え、グロリアはテキサスに帰郷した。
離婚のショックが引き金となったアルコールへの依存──必死の思いでそこから立ち直り、彼女は生活も新たにジュエリーショップを立ち上げた。
故郷テキサスへの移転を決めたのは、母の友人パトリックの後押しがあったからだ。
店の前途は明るい。
高揚した気分でエレベーターに乗っていたグロリアの背後から、冷たい命令が浴びせられた。
「三十階」振り返ると、ゼウス神を思わせる傲慢な男性が彼女を見据えていた。
続きはこちらから⇒ttp://www.ebookjapan.jp/shop/book.asp?sku=60014833